未来の行方


第一次湾岸戦争の際、米軍を中心とする多国籍軍
作戦会議の時間を極端に短くした。
それは、トップが意思決定に要する時間を
可能な限り減らすためだった。
米軍に限らずアメリカ系の組織が意識していることがある。
それは情報とそれにかかわる意思決定の短縮である。
一言で言いえるならば俊敏性アジリティである。




BSでアルビン・トフラーが出演した対談番組を放送していた。
25年前、情報革命を予言した彼が今起こりつつある事態を
彼独自の理論で解説していた。
要約するならば、
情報革命による新たなる富の出現とそのための変革というところだろうか。



情報化革命の流れの中でそれぞれの組織は進化しなければ生き残れない。
成功例と失敗例としては、アメリカのIBMと
日本のスーパー・ダイエーが引用されていた。
前者は、コンピューターの生産部門を中国の会社に売り渡して
組織をスリム化し知的財産の集約を図り
多くの特許を取得するなどして大きな利益を上げている。
一方ダイエーは、流通組織を巨大化して薄利多売で大きな成果を上げたが
生産構造が世界的にシフトする中で、その巨大さがあだとなり
経営が行き詰る結果になってしまった。




これから先、先進国では、企業に限らず組織には
小回りの聞くアジリティ(俊敏性)が求められるというのだ。
そしてまたインターネットなどによる知的なつながりが
今までの常識を覆すスピードで世界を変えつつあることを彼を指摘していた。
例えば、無償でソースが公開されているリナックスというOSがそうだと。
こうした知的なネットワークが構築され、
国境や宗教、民族の壁が簡単に乗り越えられるようになる一方で
その揺り返しである反動(戦争)が訪れることも予測していた。
またトフラー氏は、教育のシステムについて触れていた。
みなが揃って学校で読み書きする時代は終わり
これからは個人、個人に応じた教育が必要であると。




企業、NGO、家族、官僚組織、労働組合、教育組織、政治機構、法律
改革の速度はそれぞれたが、
情報革命が始まった中で生き残るためには、
それぞれが時代にあった形に変形しなければならない。
環境、教育、貧困、人権、差別、様々な課題を抱えたまま世界は
第三の革命を迎えている。
それは否応なしに企業や社会構造に変化をもたらす。


果たして、これからどんな時代がやってくるだろうか。