火車


火車 (新潮文庫)

生前に悪事をした亡者を 乗せて地獄に運ぶというひのくるま

10年くらい前に読んだ宮部の小説で
多重債務の悲惨さを描いた社会派ミステリー小説
多重債務云々の話を聞いてこの話を思いだした。
個人的に言えばこの小説が出版された頃から宮部を読み始め
日本の社会派ミステリーにどっぷりはまった。


休職中の刑事・本間俊介に一件の依頼が飛び込む。
遠縁の男性が、失踪した彼の婚約者・関根彰子の行方を捜して欲しいという。
捜査を開始して意外な事実が浮かび上がる・・・失踪した関根彰子は、全くの別人だったのだ。
婚約者になりすました"関根"とは何者なのか、
その足取りを追ううちに、陰惨な事実とおそぞましい犯罪が浮かび上がる。


消費者金融、クレジットカード社会の浪に巻き込まれ
多重債務に翻弄された2人の女性
「幸せになりたかっただけのに」と呟くが
無知であることは、この社会においては限りなく弱者であり
幸せになる夢を見る資格すら奪われてしまうかのような感覚に囚われる。