5つの宝玉を集めて運命の塔へ行き、
女神に願いを述べればその願いは叶うと聞き
現世での自分の運命を変えることを願い幻界へと
足を踏み入れた少年ワタルの冒険譚
推理小説や時代小説を中心に描いてきた宮部みゆきとしては
異色ともいえるファンタジー小説だがそれほど違和感なく受け入れることができる。
それは、幻想小説という手法をとっていながら、他の作品同様に
登場人物の背景を丁寧に書き込んでおり、
空想の世界を感じさせないしっかりとした構成を組んでいるからである。
この作品も、他の宮部作品同様、
複雑な事情があろうか、どんな困難があろうが
どんなに便利なツールがあろうとも幸不幸を決めるのは、
結局人間の心次第なのだという宮部みゆきの人間観が反映されており、
それゆえ大人でも充分に鑑賞に堪えうる物語となっている。
読後感は、「龍は眠る」「魔術はささやく」などのミステリーに近いものを感じた。
- 作者: 宮部みゆき
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