2プラス2

"一等地のビルを占有した。出て行って欲しかったら金を払え"
アメリカが沖縄から海兵隊を移転させる言い分を端から見てると
ヤクザのそれと大差ないように思えてくる。
日本単独だけで考えると何でアメリカの引っ越し費用を日本がださにゃアカンのや?
となるが、アメリカ軍のトランスフォーンションに絡めて考えると
ある程度金を出す理由が見えてくる。


アメリカ軍は中東と西アジアの安定に力を注ぎ
東アジアは日本をもって中国のプレッシャーに対抗させるというのが
ラムズフェルドの描く世界戦略である。
日米外務、防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)は
ニュースや解説の視点が狭窄化し、飛行場や移転費用の話ばかり
クローズアップされて報道されているが、
決して沖縄問題だけのために行われているわけではない。
アメリカの世界戦略に日本がどうコミットメントするかを協議しているのだ。
最終的に両国が合意したということは、
アメリカの世界戦略に日本が組み込まれるのを承知したということである。
日本が承知した以上、今後何かとこの方面に金と人を出すことになるだろう。


29日に内閣府が発表した国民の防衛問題意識調査によると
日本が戦争に巻き込まれる危険があると感じた人間は45%で過去最高だったらしい。
質問の設定や内容に疑問があるが
もはや一国だけ安全で平和に、戦争に巻き込まれないために云々する状況にではなく
世界平和を如何に作り出すか、という立場になりつつあることに
どれほどの人間が気がついているだろうか。


「いつか来た道」「軍靴の響きが聞こえる」とかは、
非戦争主義者の方々が好んでつかう表現だが、その段階はとうに過ぎている。
この後に及んで「90式戦車のキャタピラ」や「89式小銃」が聞こえなかったら、
聴力障害者か阿呆のどちらかだ。
日本は好むと好まざるとに関わらずアメリカのパートナーとしての道を歩むしかない。
アメリカからパートナーとして不適として判断された場合、
日本のかわりに中国がアジアのアメリカのパートナーとなり
日本をはじめ東南アジアの各国は中国の脅威に飲み込まれるだろう。
進むも地獄、退くも地獄、とまではいかないが、世界が安定するまで
多くの試練と困難に日本は直面する。