覚悟

先月、イラクから帰国する自衛隊の帰国が当初の予定より遅れた。
その理由はチャーターしたプーケット航空の機体が
韓国で差し押さえられたためである。

離陸前の旅客機を差押さえ タイ・プーケット航空、仁川地裁が執行 : 東亜日報

離陸前の旅客機を差押さえ タイ・プーケット航空、仁川地裁が執行


何の問題もない旅客機が突然、仮差し押さえを受ける史上初めての事態が起った。仁川(インチョン)国際空港の駐機場にあったタイ・プーケット航空のボーイング747−300旅客機が22日、仁川地方裁判所によって仮差し押さえを受けた。
外国航空会社の大型旅客機が、離陸直前に運航許可が取り消され、仮差し押さえられることは、国内航空史上初めてのことだ。


▲なぜ仮差し押さえられたのか
プーケット航空は、採算が合わないことから、タイ・バンコクで乗せた乗客を仁川国際空港で降ろした10日を最後に、韓国〜タイ間の路線を無くす方針だった。

この過程でプーケット航空が、韓国国内の航空関連会社との債務関係を清算せず、これに反発した国内の債権者たちが、裁判所に同旅客機に対する仮差し押さえを申請した。

プーケット航空は当初、10日午前11時に離陸する予定だったが、同航空会社から約2億ウォンを受け取らなければならない国内の会社が、燃料や機内食の供給を拒否したため、離陸できなかった。

さらに、航空会社側は、これら業社に債務履行覚書を書いた後、19日に急いで出国しようとしたが、今度は、韓国国内のプーケット航空のチケット販売店であるTVクラブ(ハン・ホソン社長)が問題を提起した。

TVクラブは、「被害補償のない販売契約の一方的な解約と撤収は不当だ」として11日、仁川地方裁判所に旅客機の仮差し押さえを申請していた。TVクラブは、プーケット航空から受け取らなければならない被害額が、販売契約保証金10億ウォンと、航空機の延着による乗客の損害賠賞金約2億ウォンの合わせて約12億ウォンだと主張している。


▲裁判所の判断
〓仁川地方裁判所30民事部は、TVクラブの仮差し押さえの申請を受け入れ、19日、旅客機の離陸直前に、ソウル地方航空庁に該当旅客機の運航許可の取り消しを要請した。

裁判所はさらに、「プーケット航空は旅客機を停留して、契約預かり金と損害賠償額を供託した後、仮差し押さえの執行停止か取り消しを申請しなければならない」との決定を下し、執行官を派遣した。


▲航空会社側の立場
プーケット航空側は、「TVクラブから航空券の販売代金をすべて受け取っておらず、清算すべき借金はない」と対立している。航空会社側は20日、旅客機の回収のために韓国に送った機長と副機長ら乗務員4人を本国に呼び寄せ、韓国国内の事務所も閉鎖した状態だ。

2001年1月に設立した新生航空会社であるプーケット航空は、6月から韓国〜タイ路線にチャーター機を投入してきたが、採算が合わず、運行を取りやめることに決めた。就航以来、延着が頻繁で、韓国人乗客とのトラブルも相次いだ。


(中略)
一方、同旅客機は、イラクに駐留中の日本自衛隊の帰国輸送に投入される計画だったという。


これに対して、某巨大掲示板ではイラク派遣の自衛隊に対する韓国の嫌がらせか?
ということでちょっとしたトピになったのだが
この件で日本人は韓国人を笑うことはできない。


そもそも、自衛隊イラク派遣は国家が決めたことだからJALANAが協力するのが筋だ。
それをプーケット航空から飛行機をチャーターしたのは、
自衛隊員の輸送をJALANAが社内の組合が反対し「テロの標的にされるのが怖い」
という理由で、防衛庁の打診を拒否*1したからである。
曽我ひとみさんを運ぶためには、無料同然で飛行機のチャーターを申し出たくせに
「死ぬのは自衛隊員と外国の人間だけでいい、自分だけは助りたい」と
浅ましい根性を見せて恥じないばかりか、それを改めようとしないANAJAL
限りない嫌悪感を覚える。
人は誰でも死にたくないし、事故に遭うのは嫌である。
しかし死にたくないからといって、
"テロと戦うのはご勝手に。私たちは関係ありません"と無関係を装うのは
無責任である以上にテロ実行犯に戦わず屈した卑怯者と糾弾されるべきではないか。
他の人間はどうなってもいいから自分だけ助かりたいと公言して憚らない連中は
最初から命を捨てる覚悟もないのに、命を懸けるという輩とか
解決する気もないのに拉致に真剣に取り組むと宣う詐欺師達と同じくらい
私は大嫌いである。


7月にイギリスでテロがあったとき、
たまたまイギリスの外にいた在英の作家マークス寿子女史が
早くロンドンに戻ろうとすると「怖くないの」と訊ねられた。
これに対して同女史は市民がテロに屈せず、テロと戦う唯一の方法は、
平然とした態度で日常を過ごすことである旨を毅然と述べられたそうだ。
正論である。
テロが全世界に蔓延しつつある今、
イラクで邦人ジャーナリストが見せた”いつでも、どこでも、誰にでも殺される覚悟”は
戦場だけに必要なものでなくなりつつあるよう気がする。



*1:平成16年2月産経新聞による。ANAJALともに防衛庁からの打診自体を否定