日本無罪

広島、長崎に投下された原爆の口実は何であったか。
日本は投下される何の理由があったか。
当時すでに日本はソ連を通じて降伏の意思表示していたではないか。
それにもかかわらず、この残虐な爆弾を《実験》として広島に投下した。
同じ白人同士のドイツにではなくて日本にである。そこに人種的偏見はなかったか。
しかもこの惨劇については、いまだ彼らの口から懺悔の言葉を聞いていない。
彼らの手はまだ清められていない。
こんな状態でどうして彼らと平和を語ることができるか。
ラダビノード・パール


http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20050805i312.htm

広島に原爆「後悔していない」エノラ・ゲイ乗組員声明
【ロサンゼルス=古沢由紀子】広島に原爆を投下した米軍B29爆撃機エノラ・ゲイ」元乗組員3人が原爆投下60年を前に、「歴史のあの瞬間、原爆は必要だった。我々は後悔していない」とする共同声明をインターネット上に発表した。
声明を出したのは、エノラ・ゲイ乗組員12人のうち、生存するポール・ティベッツ元機長(90)ら3人。声明は、原爆投下がなければ、連合軍による日本の本土上陸作戦は避けられず、「日本人や連合軍の多数が犠牲となっていた」と主張している。声明は、英BBC放送など欧米メディアで報道された。
ティベッツ元機長は声明の中で、「私は、日本の退役軍人や市民からも感謝された。(原爆投下がなければ)彼らは、捨て身の本土防衛をせねばならなかったからだ」との意見を記した。
(2005年8月6日0時27分 読売新聞)

私はこのニュースを聞いて、非常に違和感を覚えた。
結果的に十数万人の人間を虐殺したことについて"後悔はない"ということでなく
"日本の退役軍人や市民からも感謝された"という発言である。
アメリカ政府が戦争を早期に終わらせるために原爆を使用したというロジックは
腹立たしく感じるが、一応は理解できる。
だが、同胞を虐殺された日本人がどの口でそれを言うか。
大東亜戦争は日本が悪かったから、虐殺されても当たり前、原爆で殺されても当然
むしろ、戦争が早く終わって良かったとでもいうのだろうか。


アメリカが原爆投下を決定した時点で、日本の戦争継続は実質不可能であり
終戦工作を模索していたのは、アメリカとて承知していた。
しかし、ソビエトに対する示威のため、アメリカは原爆投下を選択した。
その非道な事実にはらわたが煮えくり返ろうが、我々はそれを抗議できなかった。
なぜなら日本は敗戦国だった、からである。



先日、原爆の碑の「過ちは繰り返しません」の文字を削った男が逮捕された。
公共物に傷をつけるのは勿論犯罪であり、その行為を肯定するものではないが
東京裁判の判事を務められた故パール氏の言葉を紹介する。

この《過ちは繰返さぬ》という過ちは誰の行為をさしているのか。
もちろん、日本人が日本人に謝っていることは明らかだ。
それがどんな過ちなのか、わたくしは疑う。
ここに祀ってあるのは原爆犠牲者の霊であり、
その原爆を落した者は日本人でないことは明瞭である。
落した者が責任の所在を明らかにして《二度と再びこの過ちは犯さぬ》というならうなずける。 
この過ちが、もし太平洋戦争を意味しているというなら、これまた日本の責任ではない。
その戦争の種は西欧諸国が東洋侵略のために蒔いたものであることも明瞭だ。
さらにアメリカは、ABCD包囲陣をつくり、
日本を経済封鎖し、石油禁輸まで行って挑発した上、
ハルノートを突きつけてきた。アメリカこそ開戦の責任者である。


1995年当時の広島市長が、
日本が反省しないからヒロシマの言葉が世界に伝わらないと考え
過去の植民地支配を謝罪する言葉を述べたということが、
今日のNHKの番組で紹介されていた。
だがパール氏の言葉を読む限り
それは、NHKと元市長の考え違いというものである。




(※ 関連過去記事)
Duty







パール判事の日本無罪論 (小学館文庫)

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