3年連続ワールドチャンピオンのバレンティノ・ロッシを
鼻先で追い掛けまわし、中盤トップを奪ってからは
ジリジリと引き離し、気がつけばぶっちぎりの独走。
カワサキ中野真矢も終盤3位にアップし
スタンドの日本人が否が応でも盛り上がる中
玉田がファィナルラップを刻むー


1コーナー、2コーナー・・・5コーナー、
玉田が駆け抜けるコースサイドの観客が総立ちで声援を送る。
「そうだ、もっと、もっと大きな声を送れ。」
プリッジをくぐると直接姿を見ることはできないが
パドックの上のオーロラビジョンに玉田の勇姿が写し出される
130R、S字・・・V字
「こけるなよ、もう少しでゴールだからな、」
汗とともにこぶしを握り締める。
ヘアピン、ダウンヒルストレート、90度コーナー
「さあ、ブリッジをくぐれ、グランドスタンドの前に出て来い。」
ブリッジ、ビイクトリーコーナー、ホームストレート
ロッシは、遥か後方、姿すら見えない。
「玉田だ、玉田が来た、行け、行け、来い、来い」
チェッカーフラッグが舞う、ゼッケン6のキャメルイエローのマシンが
フィニッシュラインを通過する。


「勝った・・・」

スタンドから沸き起こる玉田コール。
手を上げてゆっくりと観客にこたえながらのウィニングラン
130Rを過ぎてロッシとこぶしを交わし互いのエールを称える。
日本人がWGP最高峰クラスで優勝、しかも日本のサーキットで・・・


300キロを越えるスピードに生身をさらし、
甲高いエキゾーストとともにストレートを駈け抜け
コーナーでは、マシンが触れ合わんばかりのドッグファィト。
素晴らしいレースだったと思う。
おめでとう、玉田誠