9.11

数千人が犠牲となったテロから三年が立ち、海向こうで起きた大事件が
歴史の出来事として過去に追いやられていくのを感じる。
テロ事件発生以後のアメリカを行動は
二千年前のローマのそれに似ている。
周囲の蛮族を一旦は武力によって征服し、文明に順化させ恩恵を与え
ローマの支配に組み込む方法にである。
今の日本をみれば、この手法が二千年経た今もなお有効であることが分かる。
事件で「パールハーバー」「カミカゼ」「グランドゼロ」などという単語が飛び交つたことに
不快感を感じた人間がどれだけいただろうか。
こうした言葉に「はい、そうですね」と受け入れた者が大多数であるところをみると
アメリカの占領政策は成功し、今もなお日本人の意識の深いところで続いていると云える。


私は、これらの単語を聞くたびにいいようのない嫌悪を感じた。
パールハーバーは騙し討ちではないし、真珠湾攻撃は民間人を攻撃目標にはしなかった。
かの攻撃は日本人が国家生存に一縷の望みに託した「正当な」戦争行為である。
そうしたことも主張できない日本の知識階級は、
アメリカの傀儡と呼ぶべきではないだろうか。
漫画家の小林よしのりが、保守の論壇と為政者を攻撃するのもこのあたりが理由だろう。
勿論自分自身、アメリカによる文化の影響を受け、享受していることに否定しない


イラク人が今アメリカの支配に対して反発するのは
「民主主市議」というものを近代国家から蛮族国家に押しつけようとする
傲慢さが理由の一つだと思う。
テロ根絶のためにアメリカが行ったアフガン、イラク侵攻はある程度理解できるが
今のイラクに、半世紀前の日本を見るとき、とても複雑な心境を覚える。



犠牲者の冥福と世界平和を祈りつつ、日本人の矜持が甦る日が来ることを心より願う