エニグマ暗号戦

エニグマ暗号戦―恐るべき英独情報戦 (光人社NF文庫)

エニグマ暗号戦―恐るべき英独情報戦 (光人社NF文庫)


エニグマとはドイツ語で謎を意味する言葉である。
ドイツはWW2前にこの名称をもつ暗号機を採用した。
暗号解読の難易度は暗号機のもつ暗号周期の長さで決まるのだが
エニグマは兆超える暗号周期を有しており、
同機で暗号化された文の”正解”を限られた時間内で見つけだすことは人間には不可能だった。
しかし、イギリス・ブレッチレーの数学者達は
エニグマ用解読機・ボンバや世界最初のコンピューター・コロッサスを使い
それを成し遂げたのである。


暗号解読の功績はコンピュータ開発を担当した
アラン・チューリングに負うところが少なくないのだが
それでも、ドイツ軍の暗号担当者が不用意な使用をしていなければ
あるいは、戦前にポーランドで外交嚢が間違って配送される事件がなかったら
連合軍がWW2に勝利していたと言い難いものがあった。


人の営みは偶然の積み重ねであり、奇異なくらい不思議に見える時がある。
それらを必然な帰結と思うか、運或いは縁と呼ぶかは各人の自由だが、
人間の未来と同様にに作ったものには絶対はない。
絶対と思ったところから、その絶対性は崩壊する。
ふと、そんな的はずれなことを考えた。