人質事件

イラクの邦人誘拐で
人質となった方の家族が身内を助けるために
自衛隊の撤退を、とテレビで訴えていたが
そんなに大事な家族なら何故渡航を止めなかったのか。
自分が身内なら殴ってでも止めるし、それでも行くのなら、
何があっても本人の責任だということで一切関知しない。


野良猫さんや春日さんが日記で人質事件について書いているが
基本的には彼らの意見と同じで
彼を助けるために、自衛隊を撤退させることはない。
人質となった人間の思想や主義はどうであれ同胞はらからを救いたいと思うのだが
彼らを救うために要求を呑むということは
次から次へと同じ事件を誘発することになる。
冷酷と思われようが、次の犠牲者を防ぐためには毅然と突っぱねるしかない。


それにしても今回の事件は疑問符のつくことが多すぎる。
まず、犯人は何故自衛隊の撤退を要求しているのか。
常識に考えて、この手の事件で犯人達が要求するのは普通、身代金である。
自衛隊を撤退させることを目的だとした場合
要求をテレビというオープンチャンネルですること自体、異質な感じがする。
自分達の目標を本当に達成したいのであれば秘密裡に交渉するが定石セオリーだし
交渉相手のメンツを考えれば、オープンで物事を要求すれば
「NO」という回答が返ってくるのは分かりきったことである。


放送局というチャンネルを使って日本政府と交渉する方法をとったということ、
また撤退期限を3日という非現実的な時間を突きつけたことから
”犯人”は、最初から自衛隊の撤退を目的としていない。、
或いは、そこまで考える脳味噌をもっていないのではないだろうか。


それにしても、イラクに軍隊を派遣しているのは、日本だけでないのに、
何故日本だけが撤退を要求されるのかよく理解できない。
今回の事件は非常に奇異である。


土曜日テレビで、彼らを救出するために自衛隊の撤退を訴える”市民”の行進が放映され
参加者や弁護士が「怖れていた最悪のこと」とインタビューで応えていたが
本当にこれが最悪のことなのだろうか。
自分が考え得る最悪のことは、自衛隊が襲撃され戦闘に巻き込まれることである。
戦闘も治安維持活動もしていない自衛隊を撤退させるために
日本の民間人が誘拐されるという事態はリスクの計算に入れる類のものではない。

いずれにせよ、犯人達の狙いがなんなかの分からないが、
日本の”市民”達の主張と妙にリンクしているのが非常に気になるところである。