I've Never Been To Me



先日、地元の図書館に行きCDの棚に何気なく目を遣ると
シャーリーンの「I've Never Been To Me」が置いてあるのに気がついた。
愛はかげろうのように」という邦題よりは
椎名恵がカバーした「Love is all」の名前を口にした方が
思いあたる人が多いのではないだろうか。



10代で結婚、出産、離婚。麻薬中毒で刑務所に服役、
20代で歌手を目指し、その才能をレコード会社を認められ
レコードデビューするも全米97位に終わる。
以降、何度かレコード発売のチャンスが与えられたが
いずれも振るわずに業界から身を引くことを余儀なくされる。
しかし、レコードデビューから6年後、
デビュー曲が地方のラジオ局でオンエアされると
聴取者から問い合わせが相次ぎ、その名前が取り上げられるようになり
その反響の大きさにレコード会社が
「I've Never Been To Me」を再販売したところ
全米ヒットチャートの3位まで駆け上がる。



フロリダのラジオ局で人気が出始めた頃、
彼女はロンドンの菓子屋で働いており
レコード会社からの連絡にさぞかし驚いたことだろう。
6年遅れのヒットにより再デビューを果たしたシャーリーンだが
ティービーと楽曲を制作したり、その後、何枚かレコードを
リリースするもののヒット曲に恵まれることはなかった。




アメリカ人の好きなシンデレラストーリーと言えばその類の話だが、
彼女の人生はあまりにも運命に翻弄されすぎたのではないだろうか。
一発屋でもいいんです。だって多くの人の記憶に名前と曲が残るんですよ。
 これほど幸運なことはないです。」
とはpurfumeの言葉だが、
一発屋で終わり、シャーリーンはさぞ不本意だっただろう。
しかし、時代を経ても色褪せない輝きを持つ曲に巡り会えたことは
アーティストとして幸せだったといえるのかも知れない。