正義の罠


正義の罠 リクルート事件と自民党 二十年目の真実

政財界を揺るがしたリクルート疑惑。
果たして、リクルートコスモス社未公開株の譲渡は
贈賄にあたるのか?
田原総一郎が、20年前のリクルート事件を総括したルポで
タイトルは佐藤優氏が東京地検とのやりとりを描いた
国家の罠」をもじったもの。


当時、新会社の株を知人の政治家に持ってもらうことは
広く行われており、モラルとしてはともかく違法ではなかった。
株の取得にあたって、
リクルート関連の会社から株購入の資金が融通されたとしても
リクルート社と株を譲渡した政治家と、業務の関連は薄く
賄賂性は乏しかった。
江副自身としては新会社設立の祝うための贈り物、という感覚であり
何ら疑獄となるような案件ではなかったというのが田原の言い分である。


それが証拠としてリクルート社としては、
罪の意識がなく、自らの潔白を証明する意味で
未公開株の譲渡リストを公表しているし
政治家も賄賂として認識していなかったから、もらったことを公言していた。


ただ、リクルート社として瑕疵があるとすれば
事件がやや沈静化したとき
リクルートコスモス社の松原氏が社会党の議員に事件のもみ消しを
札束をもって依頼した一部始終を盗撮されて
それを日本テレビにすっぱ抜かれたことである。
これによって、リクルートに何か疚しいということで
日本中が沸き立ってしまった。



結局、20年の大騒ぎは煙の立ちそうなところに火をつけた
マスコミと検察のマッチポンプだったと結論づけている。
リクルートバッシングに加わった自身を含めたマスコミの責任と
無罪の人間を有罪に仕立て上げた東京地検特捜部と裁判所の違法性の追求
松原元社長の行為の解明などにおいてツメがあまく、
内容にやや不満が残らないわけではないが
田原のジャーナリストとしての着眼は秀逸かと思う。



国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて