偽札


児島譲の「誤算の論理」には、先の日中戦争の際、
中国経済の混乱をねらって
日本陸軍特務機関が偽札を流通させたことが記されている。


経済による打撃は、時として武力による攻撃より
大きなダメージを国家に与えることがある。
特に偽札の流通は、貨幣の国際的信用を落とす上に
インフレを誘導して国内経済を疲弊させてしまうという厄介な代物である。
アメリカが、北朝鮮の偽札に神経を尖らしているのは
そうした危険を熟知しているからではないかと推測する。


ちなみに日本陸軍が製造した紙幣は、本物以上の出来と言われ
貨幣経済が未発達であった中国経済をインフレに陥れるどころか
紙幣不足のかの国の経済を援助する形になってしまったとか。
戦争と経済はなかなか予定通りにいかないものである。




さて、時代を現在に戻して中国での偽札の話

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/gaishin/50205/

出稼ぎ仕事の手配師2人が出稼ぎ農民らへの給料用にとニセ札を買うことにし、安徽省のニセ札屋から20万元で100万元分のニセ札を買った。だが、帰って札束を確認してみると、束の最初の数枚と最後の数枚だけが本モノのニセ札で、中は白紙。途方にくれた2人が「20万元詐取された」と警察に届けたところ、2人ともお縄に…。ニセのニセ札をつかまされたドジな悪人は笑えるにしても、銀行のATM(現金自動預払機)からもニセ札が出てくるとなれば笑いごとではすまない。


そのうち、中国に笑い殺されてしまいそう。


誤算の論理 (文春文庫)

誤算の論理 (文春文庫)