攻撃は観客を呼び守備は勝利を呼ぶ

今年のブレディは面白いと書いたが、
WeeK5の時点で彼のパス獲得距離はリーグ2位である。
ブレディのバスの各年ごとの成績は

2001年 2843yds( 6位)264/413(63%)18TD 12INT レーティング86,5
2002年 3764yds( 6位)373/601(62%)28TD 14INT レーティング85.7
2003年 3620yds( 6位)317/527(60%)23TD 12INT レーティング85.9
2004年 3692yds(10位)288/474(61%)28TD 14INT レーティング92.6
2005年 1522yds( 2位)119/182(65%) 7TD 4INT レーティング95.1(5試合現在)

であり、シーズン序盤とはいえ現在のペースでは4800ヤードを越える計算になる。
例年にみない好成績といえよう。
たが、ブレディが結果を出しているにも関わらず
今シーズンのNEペイトリオッツは3勝3敗の五分の星である。
QBが攻撃の司令塔であり、その出来不出来で試合行方が左右されるというのに、である。



何日か前にMash氏がチームの浮き沈みはQBにあると述べておられたが正しく正論である。
QBが悪ければ、その他がどんなタレントが揃っていようが勝てるものではない。
事実、エルウェイ、モンタナ、ヤング、ファーブ、エイクマンなどの名QBは
鮮やかなパス攻撃でいくつもの試合で勝利を収めてきた。
ただ、これには補足しなければならない事実がある。
どんな名QBであれ、決してパス攻撃だけで勝利を収めてきたわけではない。
確かに彼らは試合の緊要な場面においてパスを成功させ、チームを勝者に導いてきたが
覇権のあるとろこには必ず平均以上のRBとディフェンスチームが存在していた。
例えばパス攻撃でNFLを制したと云われたラムズ時代のワーナーだが、
彼のチームにもマーシャル・フォークというNFLトップクラスのRBがいた。
そして一、二の例外*1を除き例外なく優秀なディフェンスがチームを支えた。
つまり彼らは、試合終盤においてパスを成功させることができれば勝利する状況にあり
そして有能なRBの存在がパスの成功を容易にならしめたのである。
事実、エルウェイティレルデービスという名RBを得て、
4度目にしてスーパーの初勝利をあげたし、
RBには恵まれなかったマリーノは、豪腕と云われながらもチャンピオンになることはなかった。


フットボールがチームスポーツである以上、一人の優れた選手だけでは勝てない。
今年のペイトリオッツが苦戦している原因は
ラン攻撃22位と守備全体23位の成績が示すとおり、ラン攻撃と守備陣の不振にある。
この二つが平均以下ならば、いかにブレディとてチームを勝利に導くの至難の技である。
逆にいえば、ブレディが好成績を収めているのは、
この二つの不振を埋めるために必要以上のリスクを冒してパスを投げているからに過ぎない。
ブレディの活躍がなければパッッは3勝ですら難しかったのではないだろうか。
このままで行けば彼らに3連覇はない。



ラン攻撃と守備全体の成績のバランスをみると
コルツ、バッカニアーズカウボーイズベンガルズあたりが
レイオフ戦線の有力候補でありスーパーに至近距離にいるといっていいだろう。
しかし、ブレディとパッツにとって幸運なことに今年のAFC東地区は弱小ぞろいで
他の地区では10勝がプレイオフ進出の目安になりそうだが
AFC東では9勝で優勝の目があることだ。
戦力不足といえども、今のパッツならば9勝という数字は絶対不可能な数字ではない。
パッツは200年以降プレイオフで数々の不利を覆して10割の勝率を誇っているし
ディフェンスの専門家ベリチックがそこに至っても手をこまねいているとも思えない。
レイオフに嵐が絶対ないとは誰が言い切れるだろうか。



パッツ3連覇阻止の鍵は、意外と同地区の弱小3チームの浮沈にあるのかも知れない。

*1:思いつくこと2000年のSTLラムズくらいである