たそがれ清兵衛

たそがれ清兵衛 (新潮文庫)


真に強い者とは、日頃は人に優しく、
それがために侮りを受ける存在なのかも知れない。


思えばtacaQも幼少の頃、
竹刀を握って日本一を目指していた(お前は赤胴鈴之助か!)ので
剣にまつわる小噺とか、結構好きだったりする。
藤沢周平の「たそがれ清兵衛」は、
そんな元剣士のノスタルジーをくすぐるには十分面白すぎる作品だった。


寝たきりの女房の身の回りの世話をするため
夕暮れ時からはつらつと動きはじめるのはいいが
その疲れから日中の城勤めでは居眠りをしてしまう。
たそがれ清兵衛」と影口を叩かれる男は、うだつのあがらない武士だが
人に知られることなく剣の技に長けており
お家の一大事を、その技をもって救うー。


「ごますり」「ど忘れ」「かが鳴き」「うらなり」等々と
有り難くない渾名を頂戴するほど侮られ軽く見られている中年のサムライ達が
隠し持っていた剣術でお家や家族のために、
問題を解決するというプロットばかりを集めた短編集は
痛快無比とまではいかなくても、それぞれのオチにニンマリとさせられてしまい、
読み進めていくのが心地よかった。



tacaQも侮りを受けて、軽く見られること久しいが
お家の大事は、当分ないので
読者tacaQファンが期待するような"うっかり"tacaQの出番はなさそうである。
あしからず。