産経新聞に連載中の話の肖像画「松本隆」で
大滝詠一の名曲「君は天然色」の誕生のいわれを知った。
曲作成の直前で妹を亡くした松本のために
大滝はアルバムの発売を延期してまで
制作を遅らせた。
そして、盟友ともいえる松本が
ようやくかき起こした詞に
ポップなメロディーと軽妙な声を加えた曲は
時代を超えたミリオンセラーとなり、
未だに売れ続ける曲となっているのだが
その曲の詞は、松本が妹をモチーフに書いたものだったという。
松本は、その事実を明かさないままに
大滝に旅立たれたことを
少し後悔しているような感想をもらしているが
事実を伏せて大滝に歌を委ねたからこそ
この名曲となりえたのかも知れない。
歌い手が自分で曲を書き、オンラインにアップする時代になり
作詞家、作曲家、歌い手、プロデューサーの個性がぶつかり合い、
予期せぬ化学反応を起こすような曲がでることは
ほとんどない。
だからこそ、彼らの起こした奇跡ともいえる出逢いに
導かれた昭和の歌に
惹かれ続けるのだろう。
今思えば、昭和という時代は
暑苦しく鬱陶しく不自由なものだった。
だが、今となってはその暑苦しさが愛おしい。
たかが歌、されど歌である。
以上、昭和生まれの独り言である。