ジャイアントキリング

ワールドカップの11月開催の影響で
10月の決勝となったサッカー天皇杯
季節外れの感覚が否めない大会は
J2所属のヴァンフォーレ甲府
クラブ初のタイトルを獲得して幕を閉じた。
自分の贔屓にしている鹿島を倒しての優勝に
切歯扼腕するものだが
対J1クラブ5連勝を達成しての頂点奪取、
延長終了間際の相手PKのストップ、
延長戦でも勝ち越しを許さず
チーム最年長の山本が決めた優勝と
語る種の尽きないヴァンフォーレ
素直におめでとうとの賛辞を贈りたい。

J2発足から始まったプロクラブとしての歴史は
お世辞にも輝かしいとは言えなかった。
人気低迷、資金不足の弱小チームで
2000年代前半に消滅していても
不思議ではなかった。
クラブ存亡の時
窮余の一策として親会社が送りこんだ人物が
ケミストリーを起こさなければ
ヴァンフォーレの名はフリューゲルスのように
コアなファンの間でのみ語り継がれる存在に
なっていただろう。

選手引退後に指導者として
歩み始めた吉田達磨の来歴も
順風満帆とは言えない。
柏のユースで成果を出して満を持しての
トップチームのヘッドコーチ就任後
チームの低迷に苦しみ解任、
その後、若手育成等の実績を買われて
アルビレックスヴァンフォーレ
続いて指揮をとるものの
成績が残せず連続して解任されている。
今年からのヴァンフォーレ
執る2度目の指揮でも黒星が先行し
リーグ戦では苦戦が続いている。
理想とするサッカーと現実とのギャップに
もがき苦しむ最中での大金星は
サッカーの難しさと面白さを
象徴しているように感じる。



勝つサッカーが正しいのかー
正しいサッカーだから勝てるのかー
その答えをめぐり、サッカーは続く。