ピート・キャロルへの手紙3


6月のある日、ピート・キャロルは
チーム・ミーティングの場で
選手を前に、ブライアン・オルソンの手紙を
読み上げた。


オルソン親子の存在を知った選手らは
口々に述べた。
「監督、お願いします、
どうかそのファンの親子を招待して下さい」と。


ピート・キャロルは規律に厳格であり、
これまで特別な場合を除き、
練習を公開していなかった。


ピートは、眼を閉じて
選手達の願いを深く考えた。
十数秒の沈黙の後、口を開いた。
「諸君、これは監督である私からの願いでもある」


「これから、険しい人生の戦いに立ち向かう少年の心に
灯をともして欲しい。」


そして、ピートは言葉を続けた。
ローズ・ボウルでもない、ましてや公式戦でもない、
ただの練習に、最高の覚悟を持って臨んでもらいたい、と。


そして、一週間後、トロージャンズの練習場に
ジェイク・オルソンが、父親を伴って訪れた。