映画「3月のライオン」の後編、
一部に酷評してる意見もみかけたが
個人的には、納得できる出来だった。
ひなたに対するイジメが唐突に終わって、
肩透かしをくらった感もあるが
それ以外は、文句のつけどころはなく
寧ろ、よく原作をフォローしていると思った。
それにても
主人公の養父・幸田柾近役の豊川悦二の好演が
誤算だった。
彼が愛の流刑地で、作家役を演じた時、
およそ知的とはいえない演技で、
ガテン系の役者と評価していた。
本作では、物語を締める重厚な演技を
見せていた。
彼の演技をなしでは、
この作品は成立しえなかったのではないか、
と思う。
主人公の敵・後藤正宗役の伊藤英明が
圧倒的な存在感を放っており、
主人公の持つ世界観の差違と
類似点をあぶり出すことで
物語の展開に陰影を与えていた。
原作を小気味好くなぞった前編とは違い、
まだ発表されていない物語の奥を
描いた後編だが、不思議と原作から
かけ離れた印象はなかった。
それは、原作者が用意している結末に
近い世界が描かれているからでは
ないだろうか。