夢の翼

翼という文字は、鬼の面を被った人を形どり
畏れることや違ったことを
意味する「異」という文字と
鳥の「羽」を組み合わせたものだという。


惟うに翼とは空を飛ぶことを願う
ヒトの想いを表した文字ではないだろうか。
だとすれば、翼という文字は
夢の同義語として、あるいは
それを実現する術の代名詞として
用いられるのも宜なるかな


肉体はさておき、
心は青年のままと嘯きながらも
齢を重ねるごとに
夢という言葉が口にだせなくなる。
夢を失なったわけではない。
可能性を実力にかえて
手にした力と才能が
夢をおいかけた結果として
目の前にあるから
口にする意味がないのである。


だから夢を歩む者が
費やした情熱の大きさを
つい想像してしまう。
過程に思いを馳せ、
流した汗の熱量を考えれば、
使いふるされた言葉しか
思い浮かばないが
それでも称える以外になすべきことはなし。




先日、ビッグサイトセミナーで
目にした映像に、
思いがけず感情がこみあがり、
涙腺をゆるませたことに対して
やや言い訳めいてひとりごちる。