福士加代子という生き方


日本勢は福士の14位が最高「こんなに頑張った自分はいない」/五輪ニュース/デイリースポーツ online


日本勢は福士の14位が最高「こんなに頑張った自分はいない」


 「リオ五輪・マラソン女子」(14日、サンボドロモ発着周回コース)


 日本勢は福士加代子(34)=ワコール=が2時間29分53秒で14位、田中智美(28)=第一生命=が2時間31分12秒で19位、伊藤舞(32)=大塚製薬=は2時間37分37秒で46位だった。


 レース序盤は3人が先頭集団に入ったが、10キロを過ぎた時点で第2集団に。12キロ過ぎ、福士が先頭集団に追い付いたが、その後はじりじりと後退した。日本はこの種目で、3大会連続で入賞すら果たせなかった。


 福士はレース後、笑顔で「金メダル取れなかった〜!本当、しんどかった」と絶叫。「いろいろなことがしんどすぎて、でも金メダルを目指してたから、最後まで頑張れた。こんなに頑張った自分はいないかな。オリンピックのマラソンは出るもんだね。苦しいけど」と話した。

リオ五輪、女子マラソン14位に
終わった福士加代子のレース後に発した言葉に
否定的な意見がネットのあちこちに落ちている。
「優勝タイムから5分以上遅れておきながら、
 金メダル云々するというのはおこがましい」
という指摘は、至極もっともだが
そうした正論に自分は一円の価値を見出すことができない。



津軽弁丸出しで、大口を開け
思ったことをストレートに口にする。
上品で行儀の良い優等生の耳障りのよい言葉に
慣れた人間にとって眉を潜めたくなるのも
当然といえば当然である。
しかし、素の自分を、
何の衒いもなく出せる彼女の在り方に
胸のすくような感動すら覚え、
人間として大きな魅力を感じる。
考えてみれば
そうした彼女の言葉を聴き続けて
十年以上になる。




福士と直接の面識はないが
彼女の努力する姿は多くの人間に認められ
そして愛されていると思う。
そうでなければ2016年3月、
オリンピック選考レースでもあった大阪国際女子マラソン
福士がトップでゴールする直前に増田明美が泣きながら
「よかったですね」と解説したことが説明できない。


日本の女子トラック第一人者でありながら
何度の世界の壁に跳ね返されても
何度も故障しても、
その都度這い上がり、
走ることを肯んじた彼女の生き方は美しい。