球撞き屋の千代さん

玉撞き屋の千代さん―浪速の女ハスラー

玉撞き屋の千代さん―浪速の女ハスラー


大阪の老舗ビリヤード屋の女主人千代さん。
昭和の初めの神戸、幼い弟や妹のため、
あちこちに奉公に出され、神戸と大阪を転々とし
実家に戻った途端に両親が他界。
家族は分散し、友人から誘われたキャバレー勤め。
綺麗どころとはいいがたい容姿を自覚して
駄目元で足を踏み入れた水商売だったが、
愛嬌と痒いところに手が届くきめ細かい性格で
あっというまに売れっ娘に。
常連のとある船場の若旦那に見初められて、
受け入れたプロポーズ。
やっと落ち着いた生活ができると思ったの束の間
若旦那には、本妻がいたからさあ大変。


本妻との修羅場を演じ、
妾として囲われることに潔しとせず
自立するつもりで買った球撞き屋。


ヤクザがみかじめを要求したり、
産んだ長女を本妻に預けたり、
空襲の最中に三女を産気付いたり、
戦後、旦那の商売が駄目になったりと
次々にやってくる困難。


しかし、千代さんはへこたれることなく、
きっぷのいい淡可を切っては、
球を撞き、店を切り盛りし、子を育てる。
背筋をピンとして颯爽と生きる
千代さんの痛快一代記。