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何故だろう、彼が去った月日よりも
存在を知るよしもなかった彼の誕生の日付を
覚えているのは。


類まれなる才能と性格で
日本のみならず世界のモーターファンから愛された加藤大治郎
いなくなって8年の歳月が流れたことに
月日の流れの早さに今更ながら驚く。



彼と鎬を削った中野真矢は2年前に引退。
玉田誠は、motoGPのシートを失い、WSBに移籍したが
そこでも成績不振からスポンサーを獲得できず
今年も鈴鹿8耐のみのレース活動となりそうである。


日本人唯一のmotoクラスライダー青山博一
中位以下で伸び悩み、
高橋裕紀は、moro2クラスで健闘するものの
チャンピオン獲得とmotoクラス復帰は厳しい状況にある。
昨年、突如としてまばゆい才能を開花させ
注目を浴びた富沢祥也は、その才能を惜しまれながら
不幸な事故で加藤同様この世を去った。


多くの出来事があった。
感動があり、悲しみがあり、喜びがあった。
もちろん、不幸な出来事はないにこしたことはないが
それすらも受け入れて、レースは続く。
日本人で彼に匹敵する才能が現れないことに
一抹の寂しさを覚えるが
彼の存在を思い起こさせるライダーが
現れることを信じつつ、グランプリを見守り続けようと思う。