ライフ イズ ビューティフル

ライフ・イズ・ビューティフル [DVD]


邦題のタイトルとか
日本語版の子役をあてた声とか
細部に注文をつけたくなるものの
ほぼ完璧にしあげられた作品である。


家族ともども強制収容所という過酷な状況でも
愛と笑いを忘れなかった男の物語は
悲劇的なコメディに止まらず
人間の素晴らしさを訴えてなおあまりあるものがある。



1939年イタリア、トスカーナ地方。
ユダヤ系イタリア人グイドは、ドーラに出会う。
二人は恋仲となり息子ジョズエが生まれるが
やがて3人はナチス強制収容所へ入れられる。
父親であるグィドは、幼い息子へピクニックだ、
隠れんぼだと嘘をついて、幼い我が子を守ろうとする。
一番うまく隠れたら戦車に乗れるという父親の言葉を信じて
ジョズエは収容所で生き延びるー。



映画の見所は、なんといっても
グィドに扮するロベルト・ベニーニの演技である。
前半のラブコメから一転して後半は陰鬱な悲劇になるのだが
どんな状況でもドーラへの愛を貫こうとするグィドに
観客は、人間の素晴らしさを感じるだろう。


至るところで笑いをとる演出も傑出しているが
看守のドイツ人の言葉をめちゃくちゃな通訳で
押し通す場面は、ドイツ人役の表情が
いかつい分なお滑稽であり、とても秀逸である。
救いようのない状況で、こんなギャグをかませたら
どんな試練でも耐えられるだろう、とすら思えてくる。


この映画は、監督も務めたベニーニによれば
愛の物語ということである。
アマゾンでは時代考証ができてないとか
批判的なコメントが寄せられているようだが
大事なのは、観客がベニーニの愛を
どう感じるかではないだろうか。



美しいメロディーを繰り返しかぶせているのが
イタリア映画らしい。
情感溢れた曲が、物語を際だたせている。