ライスボウル


松下電工インパルス関西学院大ファイターズの
組み合わせとなった今年のライスボウル
個人的には、松下の圧勝と予想していた。


前半、関学のディフェンスは、
巧みなカットや当たり方をするQB高田やRB石野のランを
止めることができずロングゲインをずるずると許し、失点を重ねていた。
ただ、いくつかのミスタックルがあったものの
平面では松下のオフェンスを封じていたので
体格を含めた個々の体力差がもう少し小さければいい勝負になったのでは
という印象を受けたが
前半は松下リードの28-3の折り返した時点で
今年のゲームは終わったと思った。
しかし、後半最初の関学のオフェンスシリーズで
1本を返すと試合のモメンタムが関学に移り、俄然試合がヒートアップし
その考えが間違いであったことに気がついた。


松下も直後に点を取り返して再び4ポゼッション差に戻すが
三原のパスが冴えをみせて松下のディフェンスを切り裂き、
3連続TDを奪い、1本差の7点まで差を詰める。
関学のオフェンスは、7年前のライスボウルの成功にあやかってか
ノーハドル攻撃を採用していた。


ノーハドルとは攻撃側がプレーの間における作戦時間を
敢えてとらず攻撃する方法でプレー間の時間が極端に短くなる。
これのメリットは攻撃側が30秒前後の作戦時間をとらないため、
ディフェンス側もフォーメーションやサインプレーの確認できず
攻撃の出方に合わせるリードディフェンスしかできなくなり
選手交替もままならなくなる。
オフェンスも作戦の打ち合わせできないため、
フィールドでのプレー以前に用意する準備や手間が膨大なものになり
プレーヤーもかなりの神経を使うことになるが、
上手く攻撃が噛み合い流れれば、デメリット上回る効果が生まれる。


前半、この関学のオフェンスは、空回りしていたが
3Q以降、QB三原のパスが決まり出すと、関学の攻撃が一気に爆発した。
松下守備陣の1線目と2線目がスクリメージライン付近で
簡単に動けないように釘付けするために
三原はショベルパスによるRBの攻撃を織り交ぜた。
ショベルパスが絶妙のタイミングで成功していたため
QB三原が左右に流れるロールアウトパスと松下の守備陣が読んでいても
QBにプレッシャーを与えられないままパスを許すことが度々あった。
また、三原はときおり目線と逆のサイドに投げるスローバックパスを
成功させており、これらによって松下守備陣は
的を絞りきることかができず混乱していた。


3Qは大学生相手に完璧に後手に回っていた
日本代表のDL脇坂、LB東ら顔を並べるXリーグ最強を誇るディフェンス陣だが
それでも4Q開始直後、関学の攻撃で松下ゴール前のピンチに
QBサックからファンブルを誘いターンオーバーを奪い取ったあたりは
勝負所を逃さない社会人チームの強かさを感じた。流石である。
結局、そのターンオーバーが試合の一つの分岐点になったのだが
勝負にもしはないが、4Q開始当初で7点差になっていれば
負傷した松下QB高田が4Qに復帰した時点では同点なっていたことだろう。
そうすれば、関学のディフェンスももう少しプレーに幅ができて
松下の攻撃をかわし続けることができたかも知れない。
だが、そのもしを許さないところが松下の強さであり
関学のコーチ陣がいくら平面を弄っても埋めることのできない領域であり
絶対差なのではないだろうか。
結果的に52-38と14点差のゲームエンドだったが、関学三原の予想以上の健闘で
試合終盤まで非常に楽しめたゲームだったと思うが
双方、オフェンスがショットガンフォーメーションからの展開が中心であり、
ランプレーの妙が少なかったのが残念である。


以上なんちゃって中年元フットボーラーの独り言である。