N.E. vs N.Y.G


ペイトリオッツのパーフェクトシーズン・16勝目がかかった最終戦
リーグ最多のQBサック数を記録しているNYジャイアンツが相手だった。
地区優勝をダラスに奪われ、ワイルドカードでのプレイオフ出場が
決まっているジャイアンツにとって例年ならば、
気の抜けたゲームとなってもおかしくないのだが
対戦相手のブレディにシーズン最多のTDバスリーグ記録だけでなく
シーズン全勝というNFL二度目の大記録がかかっていることから
記録阻止へ向けて試合に対するモチベーションは高かった。
事実、ジャイアンツは最初のオープンニングドライブで先制のTDを奪うと
パッツのファーストオフェンスをFGの3失点に留め
2Qに13-7と逆転されるや否や、キックオフリターンTDというビックプレーで
再逆転し、ゲームを大いに盛り上げ、本気ガチで戦っていた。



いつもは冷静沈着でなるNEのQBブレディだが、記録達成のプレッシャーからか
ショートパスのコントロールに精度を欠き、パスが低かったり高かったりと
彼らしくなかったが、それでも、後半に見せた集中力は見事だった。


4Qに入り最大12点差まで開いたスコアを5点差まで詰め寄り
もう一本TDが出れば逆転という状況で迎えたNEの攻撃。
2ndダウンロングの攻撃で右サイドを走るモスがパスをドロップしてしまう。
ブレディのパスもややショートし、とりやすいボールとは云えなかったが
明らかにモスのミスだった。
この日は、モスだけでなくワトソンも2度パスをドロップしており
ペイトリオッツの攻撃陣は得点をあげるものの
今ひとつ波に乗り切れていなかった。
パッツの3rdダウンコンバージョンもその時までは50パーセントで
NE攻撃陣の集中力がNYGのそれを上回っているとは言い難い状況にあった。


20ヤードを越えるロングパスの成功率が一般的に
20ヤード以内のミドル、ショートパスより低くなるのは
距離に比例してパスのコースとタイミングに精度が求められ
さらに、レシーバーがコースに走り込むまでQBが待つ時間を必要とするからだ。
QBがパスを投げるタイミングを待つ間、オフェンスラインは
敵のプレッシャーからQBを守らなければならなず、
時間が長くなれば当然サックされる危険性が増大する。
従って、ロングパスを選択することはオフェンスのメンバーに
それ相応の集中力を要求することになる。


特殊な状況をのぞき、ロングパスを失敗したならば、
一度切れた集中力をつなぎ直す意味でも
目先を変え、スタンダードなプレーを選択する。
個人的には3rdダウンの攻撃はショートパス、
あるいはスクリーンパスで走らせて1stダウン獲得を確実に
狙ってくると予想していた。
しかし、NEのプレーコールは、直前に失敗したモスへのロングパスだった。
確かにジャイアンツのパス守備はカバー2でディープゾーンの守りが薄かったが
同じプレーを、しかも直前で失敗しているプレーを
二度繰り返してくれるとは、NEをのぞく誰しもが考えていなかった。
虚を疲れたジャイアンツは、絶妙のタイミングとコースをとったモスに
キャッチを許し、TDを奪われ逆転されてしまう。
この一発が流れに乗りきれなかったNEにモメンタムを引き寄せ
16勝目を呼び込むのだが、
このプレーこそが今年のNEを象徴している気が個人的にはする。


仲間への信頼、失敗を恐れない前向きな気持ち、
そして飽くなき勝利への追求。
その三つがプレーのなかに見てとることができた。
前半、RBマロニー、フォークの中央へのランプレーが止められ
パスドロップが相次ぎ、オフェンスの組み立てに苦しみながらも
決して勝利をあきらめないNE攻撃陣、
そして、彼らの爆発を信じて、ジャイアンツの攻撃を封じ込めた守備陣。
チームの一体感と精神の高揚が伝わってくるようなプレーであり、瞬間だった。
個人記録よりフォア・ザ・チームの意識が浸透している彼らの積み重ねが
成功を導いたプレーではないかと思う。



この日、イーライ・マニングも高身長のレシーバー陣に助けられたといえ
素晴らしいパフォーマンスを示していた。
ただ、逆転された直後の攻撃で、パスをインターセプトされてしまい
勝負所で活躍できないのは、
彼が一流として認められない所以なのかもしれない。
ロンバルデイは言った”勝利がすべてではない、勝利こそがすべてだ”と。
だとすれば、ブレディにはジャイアンツのイーライにない
すべてがあるのかもしれない。



以上なんちゃって元フットボーラーの独り言である。