テロリストのパラソル

テロリストのパラソル (角川文庫)

左翼崩れのアル中が昼間から飲んだくれている公園で
数十人が死亡する爆弾事件が発生した。
東大でゲバ棒を振るい中退して、
ボクシングでは新進気鋭のホープとなったものの
挙げ句はアル中となり下がっていた男の周囲が
俄に動き出す。


情報を交換する元警官のヤクザ、かつての同級生の娘
行方不明のホームレス、覚醒剤、左翼ゲリラ、
二十年前の爆発事件、有閑マダム
不確定な多くの要素に足をとられなからも
アル中男は事件の核心へと次第に迫る。



先日、逝去した藤原伊織の代表作「テロリストのパラソル」
元ヤクザもんである宮崎学
電通が、テロリストとは笑わせるな」というようなことをいって
こき下ろしていた。
確かに、元本物からみたら、こんなスマートなヤクザはありえねぇだろうし
元左翼の思い出を美化した甘ったるい同窓会譚と云えなくもない。
ただ、それ相応のキャラクター作りに成功しており
楽しめる作品だと思う。