今シーズンのマニングは、
ボールコントロールオフェンスする場面が多く、
それはプレイオフ進出が確定したレギュラーシーズン終盤で
特に多かったように思える。
河口正史氏に言わせれば
対戦相手の得意とするゲーム展開に付き合って勝とうとしていたー
今年のスーパーボウルは宿敵NEを大逆転で破り出場を決めたマニングが
最強のオフェンスを率いて最強のディフェンスCHIと戦うという
それなりに見所があるようなカードとなった。
しかし、その文句はお祭り気分を盛り上げるためのフレーズに過ぎず
特にCHIは看板倒れといっていいだろう。
ベアーズの守備陣は1ファンブルフォースを含む3つのターンオーバーを
奪ったが、それでもマニングに有効なプレッシャーを
与えることはできなかった。
実際、ベアーズがマニングをサックしたの1回しかない。
1QでマニングにTDパスを許したパスカバーのミスは大きく
結果としてあのパスでマニングに冷静さを取り戻させてしまったよう気がする。
以後、マニングの執拗ともいえる短いパスやランを織り交ぜた攻撃に
CHIの守備陣は切り裂かれていった。
ベアーズのディフェンスもブリッツを入れて攻撃を止めようとしていたが
オーディブルでマニングに対応されてしまい、有効な対応策を示せないまま
ずるずると失点を重ねる結果になってしまった。
MVPに選ばれたマニングだが、彼の出来は決していいものではなかった。
最初のシリーズでは、インターセプトを喫するわ
ボールコントロールオフェンスを意識して攻撃した後半の4Qは
さほど時間を消費することなく攻撃を終了している。
CHIのQBグロスマンが自滅して、無理をする必要もなかったのだが
対戦相手が並以上のQBだったら、終盤に一波乱あったかも知れない。
それでも中盤の勝負所で冴えを見せて確実に得点を奪ったのは
流石というところである。
INDの勝因としては、マニングよりもコルツの守備陣の奮闘が大きかった。
1Q、6-7とマニングがTDを上げて追撃ムードが高まった直後
CHIのトーマスに60ヤードのロングゲインを許して結果的にTDを喫したが
それ以外ではベアーズのランを悉くストップしていた。
トーマスのロングランもSのボブ・サンダースのタックルのコース取りが
少し悪くて他のプレーヤーと接触してしまったがために許してしまったもので
プレーの形だけ見れば、あのランは10ヤードで止まっていた。
得点を焦ったグロスマンがスリップしたり、ボールを落としたり
無理なところに投げ込んだという恵まれた部分もあるが
コルツの守備陣は、ベアーズの守備をほぼ完璧に抑えていた。
雨が降ればランプレーを主体とする"地上戦"になるから
ベアーズ有利とする意見が多かったが
スーパーボウル史上初めての雨は多くのターンオーバーを呼び
マニングのペースを度々狂わしたが
それでもベアーズは1Qの最初以外で試合のモメンタムを握ることはなかった。
それはINDの守備陣の奮闘が大きかった。
スーパースターでありながらビッグタイトルに無縁たったマニング
何かが足りないと言われ続けた彼に、勝利をもたらしたのは
"攻撃は客を、守備は勝利を呼ぶ"の格言通りに
プレーオフを通じて脅威の粘りを見せた
コルツの守備陣ではなかっただろうか。
以上、元なんちゃってフットボーラーのテレビ観戦記である。