往古来今、これを宙という。四方上下、これを宇 という 淮南子(えなんじ)
幸村誠の漫画プラネタスで主人公ハチマキが
第二次世界大戦でV2をロケット開発したフォン・ブラウンが
「喜べ。宇宙船が生まれた日だ」と云ったエピソードを紹介し
フォン・ブラウンの名を継ぐ者に不可能はないと発言するシーンがある。
NHKで放映されたSPACE RACEを見た。
ソビエトのセルゲイ・コルリョフとアメリカのフォン・ブラウンが
互いに鎬を削り人類を宇宙に運ぶことを目指した実話にベースにしたドラマである。
http://www3.nhk.or.jp/kaigai/spacerace/
若い頃、強制収容所送りを体験したこともあるセルゲイ・コロリョフは
R7ロケットの開発に成功するも
アメリカへの直接攻撃を可能とするミサイル技術だけに関心のあるソ連共産党を相手に
コロリョフは、宇宙を目指すためのロケットの研究資金を引き出すために苦心する。
ソビエトの威信を示すような喜ぶ企画を打ち出し、
人子衛星の打ち上げ、生物(イヌ)の大気圏外旅行などを成功させる。
一方、アメリカのウェルナー・フォン・ブラウンは、陸軍で研究し、着々と成功を収めるが
ナチスだった前歴が災いして、海軍のヴァンガード計画の後塵を拝する。
R7、スプートニク、ボストーク、マーキュリー計画、サターンエンジン・・・etc
人類を月へ送るために、両者は多くの難題にぶつかる。
それらは技術的な問題ばかりでなく、国や役人の面子といった政治的なもの絡み
宇宙開発競争が佳境に入れば入るほど問題は増し、多くのプレッシャーが彼らを襲い
多くの悲劇をも生む。
それでも彼らは「人類初の……」という称号を求めて、ひたらす研究に打ち込む
あたかも神に仕える修道士のように。
冷戦が本格化し、核戦争の可能性が囁かれ、その何歩か手前までいった50-60年代
その危機をもたらしたのは、コロリョフ、ブラウンが開発したロケット技術であるが
その技術が人類に宇宙旅行という夢をもたらしたのも事実である。
アポロ計画はアメリカ政府が仕組んだ壮大なプロパガンダであり捏造だという話を
信じている人間も少なくないと聞く。
それでも、人類が宇宙に懸けた情熱は本物であっただろうし、
人間の情熱に不可能はない。
以上、アポロが月に到達した年に生まれた中年男の独り言である。
- 作者: 幸村誠
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/01/20
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