国家の自縛


国家の自縛



外務省休職中の佐藤優氏に対するインタビューを纏めたものである。
聞き手は、鈴木宗男事件に連座する形でマスコミの注目を浴びる以前より
佐藤氏と親交のあった産経新聞の斎藤勉氏。


日本外交の最前線で体を張って戦った体験談が中心ではあるが
そこから読み取ることができるのは
佐藤氏の人生観や国家観などの彼の行動を支えた原理原則であり
日露外交という分野に止まらず政治経済文化という広いカテゴリーで
知的な興奮を誘う内容だった。


実務を担当した北方領土交渉において、
チェチェンマフィアを封じ込めを絡めた返還交渉の提言や
日中、日韓外交において理不尽な言動を繰り返す相手に
整然と理を説き、非を糾弾できないのは外務省の能力が弱っているのだとする指摘
ロシアがどうのよに創価学会を外交のパイプとして利用しているかや
アメリカの政治経済を支配していると言われているネオコンに対する考察など
氏の口から語られる分析、批評、解説の数々に
さすが外交官と舌を巻きたくなるような感慨を覚えた。
それにしてもこれほどの異能の官僚を手放すとは
門外漢ながら長嘆息せずにはいられない。



国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて