プロ野球批評宣言

とつぜんの球団合併と、1リーグ制移行の問題が起きたのは6月だったが、
それについて、選手会会長の古田が選手会としてオーナーたちと話し合いたいと
発言すると、ジャイアンツの当時のオーナーがつぎのようにいって
その発言を切り捨てたのである。
「無礼なことをいうな。分をわきまえにやいかん、たかが選手が」
つまり、日本では、野球選手というのは、つべこべいわずに
野球だけやっていればそれでいいと見なされているようなのである。
いうなれば、野球ロボットだ。
僕はその発言をきいて、よくもそこまで人間を侮辱できるものだとおどろいた


「スポーツの正しい見方〜野球ロボットから脱却せよ」海老沢泰久


昨年のプロ球団合併騒動の記憶が新しいが
スポーツライターである海老沢泰久氏はその騒動の最中に
Number Webに上記のような文章を掲載した。
それから半年、球団の合併は行われたが、選手会はファンの支持を取り付けた形で
ストライキを実行し、オーナー側に新規入団の参入を認めさせ
新球団「楽天ゴールデンイーグルス」が発足し、
球団数減による変則開催という事態を避けることができた。
幾つかの細部は変わったものの表面上は今までどおりプロ野球を観戦できるのだが
球界の危機は本当に去ったと言えるのだろうか。
自分の答えは「No」である。


球団オーナーの戦略なき経営も依然として大きな問題だが、
最大の問題は選手自身の意識の低さにある。
「ファンあってのプロ野球」と選手もオーナーもことあるごとに口にしているが
タイトルを獲得するために試合を欠場したり、
相手チームの選手を敬遠したりという光景が今年も少なからず繰り返された。
(参照URL http://number.goo.ne.jp/others/column/20041021.html
ストライキを支持したファンに対して、こうした非礼な仕打ちをしておきながら
ファンあってとは、どの口でいっているのか。
それとも非礼と感じる心すら野球選手にはないのか。
また、先の中越地震選手会は多くの義援金を送ったが、
実際に現地まで足を運んで被災者を激励した選手が何人いただろうか。
(参照URL http://www.sankei.co.jp/reon/yakyu/1998/column/041210.htm


25日にプロ野球構造改革協議会が開かれたが
(参照URL http://number.goo.ne.jp/news/others/20050125a5050.html
昨年末の状況は寒い限りであった。
(参照URL http://www.sankei.co.jp/reon/yakyu/1998/column/041224.htm
選手年俸の高騰が球団経営を圧迫していると知りながら
高給取りの選手が一人として年俸の減額を申し出ただろうか。
自分の知っている限り巨人に移籍したタフィ・ローズ以外に
身銭を切るといった選手を寡聞にして知らない。
それとも1億円を超える多くのプレーヤー達は、
年俸に見合うだけファンの心を惹き付けていると考えているのだろうか。
こうした現状を見る限りプロ野球選手が今の状況を改革し
本気で観客を楽しませようとしているとはとても思えない。


偏狭にプロ野球だけを愛好する人は、よくJリーグのサッカーについて
口先だけの理念が先行して、経営実績が伴わない云々とケチをつけるが
少なくてもJリーグの選手は、ファンに対して真摯であると私は思う。
いやサッカーだけでなく、アイスホッケーでもバスケットでも
選手はファンを楽しませようと一生懸命でプレーするし
競技場以外ではファンやスポンサーを獲得しようと必死で努力をしている。
あのMLBですらストで離れたファンを呼び戻すために必死で努力した時期もあった。
口先だけなのはどちらであるか、答えは明白だろう。
本当にプロ野球を愛しているファンならば、他の競技や団体の悪口を言う前に
なぜ前述の状況に憤りを感じないのか、
他の団体の良いところを真似しようと提案しないのか
とても不思議である。



以上、プロ野球ファンではないサッカーファンの独り言である。




プロ野球批評宣言 (新潮文庫)

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