「Jタイプの再生産を決定しました。」
「そうか、あの型は利益率が低いかも知れないが、品質を落とさないように頼むよ。
 あのシューズを愛してくれる人がいるんだ。」
「Master キートン勝鹿北星/浦沢直樹



前回の日記のタイトルは、名作「Masterキートン」のタイトルである。
ヘルメスという架空のシューズメーカーのスニーカーを中心に
ロンドンのとある小道で繰り広げられた
バイオリン弾きの老人と若い女スリ師の不思議な友情の物語で
ホロリと泣けてしまう話が多いMasterキートンの中でも秀逸なストーリーの一つである。


さて、連載が終わった今でも不思議なのは、この漫画の原作者である勝鹿北星である。
専門家並に詳しい軍事や諜報の知識、それだけでなく考古学やヨーロッパの古典にも精通しており
何より読者を唸らせる巧みなストーリー展開、
いくら漫画の原作とはいえ、凡そ一人の人間の仕事とは思えないレベルを持っていた。
一体、勝鹿北星とは何者なのか・・・大学教授や元外人部隊など様々な憶測が流れたが
全ては謎に包まれたままなのである。